- 青二塾大阪校に入るまでの経緯を教えてください。
- 大学時代に学生劇団に入っていて、その劇団がラジオ番組を持っていたんですね。で、通っていたラジオ局の受付に、青二塾大阪校のチラシがあったんです。卒業後どうするかを考えるタイミングでもあり、「子供の頃アニメも好きだったし、声優という仕事はあるな」と思いました。大阪校の強みで授業が土日でしょう?「青二塾には入ろう、でも就職もしよう」と決めて、週休2日制の会社で働きながら、塾に通うことにしたんです。
- 実際に入塾されて、いかがでしたか?
- 塾の2年間は、私にとってとてもとても貴重な時間でした。本当に土台作りをする場所なんだなと思いましたね。そりゃ、最初からマイクを立てて画に声を当てる練習をするのは楽しいかもしれないけれど、青二塾では当時アフレコの授業すらなくて、きっちり役者の土台を作るカリキュラムが組まれていたと思います。みんな俳優を目指していたけれど、ライバルを蹴落とすような関係ではありませんでした。そもそも誰が上、下というのは無いと思うんです。役を演じるってそうじゃないですか、同じ役でもみんな違った風になる。自分だったらこの役をいかに魅力的にできるかをそれぞれに考えるので、見ることもすごく勉強になりました。
- なるほど。上・下がないというのは、頭で分かっていても、誰もが悩むことかもしれませんね。
- 不思議なもので短所が長所になることもあるし、長所が面白くないものになることもあって、芸能ってそういうものなんだなって思います。これは塾長先生に言われた言葉ですけれど、「人と比べるな」「自分の評価を自分で下すな」って。人と比べて自分で評価を下してしまうと、つまらないものになるんじゃないかな。実際自分では思いもよらない役をいただくこともありますし、それぞれが、自分をいかに育てていくかが大事なんだと思います。塾生時代、塩沢兼人さんの特別授業で、詩を朗読した後に目を伏せて、「今の、要るか要らないか手を挙げて」って言われたんです。自分がプロデューサーだとして、買うか買わないか。上手い下手ではないんです。たどたどしくても素朴で詩の内容が心に刺さるなら「要る」じゃないですか。「結局こういうことなんだよ、現場って。こういう仕事なんだよ」って教えてくださったんですよね。もちろん滑舌の練習も大切、技術を磨くことも大切。だけど、根本に人間力というか魅力がないと買ってはもらえないんだよということですね。塾長先生に言われたことと重なったなって思いました。