ビジョン
Vision

悔いが残らないよう

行けるとこまで行ってみる、

その繰り返しです。

青二塾 大阪校 11期生中井 和哉

卒塾生の声

青二塾に入ったのは、
気持ちに区切りをつけたかったから。

中井さんは、入塾前は公務員をされていたとお聞きしました。
そうなんですよね。その前は高専だったし、まったく違う畑です。入塾したのは、25の時です。もともと声優の仕事に興味があって、自分がなれるとは思っていなかったけれど、四捨五入して30だと思った時に、「誰に無理だと言われたわけでもないな。やってみて、然るべき人に無理だと言われたらそこで区切りがつく」と思ったんです。ケジメをつけるために受けた感じ。塾に合格した時も、「とりあえずここまでは行けるんだ」って感覚です。
実際に入ってみていかがでしたか?
青二塾では、仕事をする上での、基礎の基礎を教わりました。先生方には、どこまで本気を見せられるかと問われている感じがありましたし、僕もここで中途半端にやったんじゃあ区切りがつかないから、悔いを残さないようにやろうとは思いました。2年間、ごちゃごちゃ考えずひとつのことに一生懸命になれたことは大きかったんじゃないかな。現場に行くに際して準備する大切さというか、1回1回が勝負という感覚は塾で学んだことかもしれません。入塾して間もなくプリントをもらったんです。「上っ面を取り繕った芝居で動かせるのは人の心のほんの表層だ。魂を芯から震わせるには自分をさらけ出すしかない。上っ面しか動かせない人は報酬もその程度しかない」って。いきなり「報酬」という言葉を突き付けられて、意識が変わった部分はあります。お金をもらうのか、プロになるってそういうことだよなって。すごい奴っていっぱいいるんですよ。「そんなやり方があるんだ」みたいなことができる人もいて、僕からすると、「プロになる人ってこういう人だろうな」と思えた。だからか、自分に本職の声優になる道が開けているとは、最後まで思えなかったですね。実際、青二プロダクションに合格した時も、「あ、受かるんだ…」って思いました。もちろん嬉しいんですけど、急に現実的に色々考えなきゃいけなくなって、手放しで喜べたのは一瞬だった記憶があります。このまま一生声優を続けられるかどうか分からない。だからって、ここで尻込みしたら悔いが残るだけっていう、もうその繰り返しですね。「どこまでいけるんだろう」と、ここまで来ている感じです。逆にギリギリの楽観論というか、「行くだけ行ってダメだったらしょうがないじゃん」ってとこがあったから、やれる限りのことができたのかもしれません。

仕事には責任がある。
下手でも怖くても
商品にしなくちゃいけない。

塾の先には青二プロダクションという目標があるわけですが、どんな事務所なのでしょうか?
青二プロは、老舗だし、大手だし、国宝級の方がいっぱいいらっしゃいます。しっかりこの業界で足を踏ん張ってやるぞという舞台としては盤石です。でも正直なことを言うと、中に入れば、感じ方は人それぞれだと思います。アットホームだと思う人もいれば、厳しいと思う人もいると思う。甘い気持ちで来たら、たぶん何もできないと思います。大勢の人がいるということは、代わりがいっぱいいるってこと。良い会社だからおいでっていうのとは違いますね。
そんな中で、どうやって初めての仕事を獲得されたのでしょうか?
僕は、自分を売り込むのは苦手でした。でも、何がしかの機会を作って下さるマネージャーさんもいて、そういう時はできる限りのことで応えようとしたつもりです。そういう意味ではものすごいラッキーがあった。4月に東京に来るじゃないですか。で、冬にアニメの大きいオーディションがあって、そのレギュラーに受かるんです。まさかの、『ガンダム』なんです。次の春にはもうガンダムに乗ってるんですよ!めちゃくちゃラッキーです。事務所も「オーディションてのはこうだよ」って経験させる意味で行かせたんじゃないかと思うんですが、なんとなんと!ってやつですね。
仕事は、塾生時代とはどう違うのでしょうか?
一番違うのは…責任なんですよね。これを商品にして、生業にするテレビ局やスポンサーの方がいるということ。その中に入っていく怖さは常に感じています。上手な声優さんたちとやるのは楽しいんです。でも明らかに自分が一番下手っぴなのが分かっていて放り込まれる怖さ。「困った」なんて思ってる場合じゃない。単純に嬉しい、ワクワクしてるというのではないし、だからと言って「俺、ダメだ」というのとも違う。伝わるかな。それは、今も続いていることです。

あの役は、
中井和哉の全部を持っていかないと
太刀打ちできないんです。

『ONE PIECE』のロロノア・ゾロ役を長く演られていますよね?
ゾロになったのは入って4~5年目ですね。久しぶりのアニメのオーディションで、原作を読んで「うわ、これ、めちゃくちゃ面白い」と感動しました。強烈に「演りたい」と思いましたね。こんなドラマが演じられたらいいなって。それと、初めて、このキャラクターから俺の声が流れてきてもいいんじゃないかと思えたんです。実際やってみると、他の役を考えていただければ分かると思いますが、あの現場に居るってとんでもないことなんです。「僕のこの面を見てもらいましょう」では居られない。中井和哉の全部を持っていかないと絶対太刀打ちできないんです。最初は足を引っ張らないようにという気持ちがあったけど、徐々に、「各々ができることを100やって、ぶつけあってなんぼだ」と思えるようになっていきました。
ナレーションのお仕事も多いと思いますが、役を演るのとどう違いますか?
ナレーションもアニメも、与えられた材料を駆使する意味では心構えは同じです。でも、アニメで観客の存在を意識するかというと、僕は違うんですね。あくまで役として役と話している。ナレーションは不特定多数の中に自分のターゲットを見つけて、その人がどんな環境の中で聞いているかを意識します。もともと、スポーツの魅力を伝えるナレーションができたらいいなと思っていたので、『FIFAワールドカップ』をやらせていただけたのはすごく幸せでした。『ワールドカップ』は日本中のみんなの気持ちに火をつける役。「待ってたでしょ?俺も待ってたんだよ。はじまるよ」っていうのを、日本中に向けて届ける意識でした。僕がいた現場は、演出や音楽と共同作業をする面白さもありましたね。
声優を目指す方へ、メッセージをお願いします。
声の仕事って、色々可能性をはらんでいると思います。僕が塾生の頃は、ちょうどゲームに声が付き始めた頃。今は、さらに声が求められる場が増えています。パソコンや家電のインターフェイスとして声を使うことも増えています。今後は、僕が塾生時代に敵わないなと思ったような、破天荒さとか、突出した何かを持っている人が出てくるといいですね。「中井、お前なんかより俺の方がスゲェんだよ」というような人がくればいいと思ったりしてます。

PROFILE

中井 和哉 青二塾 大阪校 11期生

出身地:兵庫県/大阪校11期生/『ONE PIECE』ロロノア・ゾロ役/『戦国BASARA シリーズ』伊達政宗役/『銀魂 シリーズ』土方十四郎役/『炎炎ノ消防隊』秋樽桜備役/TBS『アッコにおまかせ』/NTV『スッキリ!!』 他

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